住みよい街づくりと自然環境の保全~世界自然遺産~
人と自然が調和する「住みよい街づくり」
世界自然遺産は、特に生物多様性の観点から人類全体にとって価値があり、将来にわたって保全すべきものです。そこでは、いつまでも変わらずその場所の自然や生き物が生きていけるよう、いろいろな決まりをつくって自然を大切に守っています。私達が暮らす街でも、身の回りにある自然を大切に守りながら、緑あふれる街をつくり、これから先も人と自然が調和できる持続可能な環境をつくっていくことが大切です。
自然を守る世界の取組と活動
生物多様性条約
1993年に発効された、地球規模で生物多様性の保全を目指す唯一の国際条約です。日本では、「生物多様性基本法」が2008年にできました。この法律により、初めて幅広い範囲で野生生物を保護することができるようになりました。
WWF(World Wide Fund for Nature)
約100カ国で地球規模の活動をしている環境保全団体です。地球上の生物多様性を守り、人と自然が調和して生きられる未来を目指して活動しています。WWFジャパンは、1971年、世界で16番目のWWFとして東京で設立されています。
世界自然遺産とは
国際連合の機関の一つであるユネスコ(UNESCO)は、この先もずっと残したい自然を世界中から選び、「世界自然遺産」として登録しています。2019年7月時点で、世界自然遺産は213件あり、そのうち日本には白神山地・知床・屋久島・小笠原諸島の4件が登録されています。
日本にある世界自然遺産
白神山地
青森県と秋田県にまたがる山岳地帯の中心部に、これまで人間による開発が入っていない、東アジア最大の自然のままの広大なブナ林が残されています。地域固有のアオモリマンテマなどの植物をはじめ、イヌワシ・クマゲラなどの希少な鳥類やツキノワグマなども生息しています。
知床
北海道北東部の知床半島には、傾斜が急で険しい山々と切り立つ海岸の断崖や湿原、小沼があり、原生林にはヒグマやオオワシ・シマフクロウなどの希少な鳥が生息しています。豊かな海ではプランクトンをはじめ、海洋生物が育まれ、海・川・陸にわたる、生物多様性の観点からも重要な生き物の生息地です。
屋久島
九州から南の東シナ海と太平洋の間にあり、日本列島の南に位置していながら高い山々が連なっているため、一つの島の中で、亜熱帯植物から暖温帯のスギ樹林、高山植物など、南北に長い日本の自然植生が見られます。樹齢1,000年以上の天然スギ「屋久杉」など、雨が多く湿度の高い環境に適した、世界でも他には見られない森林が形成されています。
小笠原諸島
東京から南に約1,000km離れた美しい紺碧の海と切り立った断崖に囲まれた大小30程の島々です。小笠原諸島は、大陸と地続きになったことがない海洋島です。そのため定着した動植物が独自に進化して、他の地域にはない特徴的な生き物やつながりが見られる貴重な生態系があります。
東京都の取組小笠原諸島の自然を守る
小笠原諸島に生息するハハジマメグロ、シマアカネ、オガサワラトカゲ、ムニンノボタンなどは、この地域固有の動植物です。これらの貴重な固有種を保護・育成するため、本来小笠原諸島に生息していなかった外来種の駆除などを行っています。また、小笠原の島々の中にはかつて食用として持ち込まれ、野生化したヤギが増え、貴重な植物などが食べられてしまう被害が起きています。そのため、ノヤギの排除と植生を回復させる取組を進め、少しずつ植生の回復が進んできています。
他国の世界自然遺産の自然を守る取組についても調べてみよう
・自分が将来どんな役割を担えるだろう
・住みよい街づくりと環境保全にはどのような関連があるのだろう